第17回東方project人気投票 音楽部門の結果の分析(その1)

 お久しぶりです。前回に引き続き、第17回東方Project人気投票の結果の分析について取り上げていきます。今回は音楽部門を扱います。

 まずは確定版の順位の早見表です。視覚的に分かりやすくするために色を付けました。人妖部門に比べれば、速報版からの順位の変化は小さかったようです。

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 まず全体として、右上ほど順位が高く、左下ほど低いという傾向があります。つまり古い作品ほど、作品内で後の方の面に登場する曲ほど順位が高いということになります。詳しく見ると、紅魔郷の曲や6ボス。Exボスの曲はほとんどが100位以内です。一方で、神霊廟以降の体験版範囲の曲はほとんどが100位より下です。また、win版では、ボス曲より道中曲の方が順位が高い面は85面中17面と、ちょうど2割でした。

 

 続いて、それぞれの曲のポイントの表です。

 

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 右端にはその作品の曲のポイントの合計を記載しました。なお、旧作の合計ポイントはwin版と共通の曲(少女綺想曲と恋色マジック(恋色マスタースパーク))のポイントは除いて計算されています。

 合計ポイント数が多い方から順に紅魔郷永夜抄妖々夢風神録地霊殿、紺珠伝なのは作品部門と同じです。この6作品は作品部門開始時から全く順位が変動していない上位6作品です。一方、その次に順位が高いのは作品部門では虹龍洞ですが、曲のポイント数では鬼形獣になります。しかし、鬼形獣の曲に入った10867ポイントのうち、3分の2近くに当たる7107ポイントを6ボスの曲(偶像に世界を委ねて~Idoratrize World)が獲得しています。この曲を除くと鬼形獣の曲に入ったポイント数の合計は3760ポイントと、win版整数作品の中では最も少なくなてしまいます。このようにある作品のポイントの合計の半分以上を1曲が独占する、ということは他には起こっていません。また、旧作は曲のポイント数合計順位と作品部門の結果では靈異伝と怪綺談が入れ替わっているだけでした。

 続いて面ごとのポイント、順位の平均も見ていきましょう。ポイントが大きく異なる旧作は除いてあります。「相当順位」とはその平均ポイントが何位に相当するかを表したものです。例えば、タイトルの曲の平均ポイントは258ポイントで、それに最も近いポイントを獲得した曲は190位・260ポイントの「神話幻想~Infinite Being」なので、「相当順位」は190となります。面ごとの平均、相当順位、平均順位は分かりやすくするためグラフにしました。左の目盛りがポイント、右の目盛りが順位を表しています。

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 どの面でも、相当順位が平均順位より高くなっています。これは、それぞれの曲のポイントは指数関数的に分布するため、平均ポイントは上位のポイントが高い曲の影響を受けやすいからだと考えられます。実際、ポイントの対数を度数分布表に表すと正規分布に近い形になります。また、ポイントの相加平均ではなく相乗平均から相当順位を求めると、平均順位に近い値になります。

 結果を詳しく見ていきましょう。まず平均ポイントは6ボス、Exボスが突出して多いです。先程と同じようにここの曲は人気が高いことが分かります。非常に多くの曲がある中で16位や19位相当のポイントを獲得しているので凄いですね。その次は4ボス、5ボスと続きます。なお、平均順位では5ボスの方が高いので、4ボスと5ボスは同程度に人気だと言えるでしょう、ただ、4ボス曲は6位から301位まであり、5ボスより曲による人気の差が激しいようです。

 次に注目すべきは3面道中です。こちらは、道中曲の中で最も平均ポイントが高く、さらにボス曲より平均ポイントが高い唯一の面となっています。win版の3面道中12曲のうち、半分の6曲がボス曲に勝っていて、特徴的な面だと言えそうです。さらに、旧作の3面道中も全てボス曲より順位が高いです(靈異伝の3面道中として書かれているのは11~14面のテーマ)。しかし、win版道中最下位の曲(不朽の曼殊沙華)も3面であることは少し不思議です。

 逆に平均ポイントが道中で最も低いのは2面道中です。星蓮船以降全てポイントが2桁で、上位の曲が長く出ていません。また、上のグラフで平均ポイントが最下位なのはエンディングです。あまり目立たないと思われるので人気が低いのは仕方ありませんが、スタッフロールに4倍近く差を付けられてしまっているのは不思議です。

 

 分析は以上になります。今回は東方人気投票の結果を表にまとめることで、人気の特徴を探っていきました。なお、人気投票の順位が高いほど優れた曲であるとも限らないので注意しましょう。あくまでも曲の人気の目安の一つと考えてください。最後になりますが、データを集計し、公開して下さった実行委員会の皆様、ありがとうございました。