東大教養学部の授業日程の変遷

はじめに

 どうも、授業日程オタクのゴキブリです。このブログは東方projectが中心ですが、この記事だけのために新たにブログを開設するのも面倒なので、こちらに投稿します。こんな記事を書いているには私が単に暇人だからではありません。私は、小さい頃から「自分がどのような教育を受けているか」ということに強い関心があり、授業日程というものが大好きでした。曜日ごとの授業回数を数えたり、算数の教科書で一回の授業で扱うことを想定されているであろう部分の数を数えたら必ず35の倍数に近くなることに感動したりしていました。また、カレンダー上に必要な授業や行事が最適な位置に配置されていることにパズル的な面白さも感じていました。そのため、大学に入ってからもいろいろな年や学部の授業日程を調べ、考察するようになっていったのです。

 自分語りはこのくらいにして、今回の記事の概要を説明していきます。今回扱うのは、東大教養学部前期課程の2011年度~2023年度の授業日程です。教養学部のホームページで公開されているのは2022年度と2023年度のものだけですが、googleで「東大 授業日程 20XX」または「東大 授業日程 平成XX年」と検索すると2011年度まで遡れます。一々リンクを張るのは面倒なので実際の日程表を見たいときは検索して探して下さい。*1なお、前期教養と後期教養は知っている範囲ではほぼ同じです。

 

2011~2014年度:4学期制導入前

 東大の授業日程は、2014年度と2015年度を境に大きく分けられます。2014年度までは夏学期と冬学期に分けられていたのが、2015年度からは今のS1・S2・A1・A2の4学期制に移行しました。それに伴い、1コマ90分から105分に変更されました。そのため、2014年度以前の授業日程は今とは大きく異なります。

 本来、2単位の科目は1セメスターに90分×15回の授業が必要ですが、ターム制を導入するとセメスターに13回しか授業ができなくなるため、1コマが105分に変更された*2のですが、2014年度以前も授業は学期に13回しか行っていなかったようです。恐らく定期試験期間を授業回数に含めていたのでしょうか?そのため、全体的に今より余裕がある日程で、祝日に授業をすることもなかったようです。まず夏学期ですが、今と大きく異なる点は定期試験の一部が夏休み中の8月末から9月頭に行われていたことです。ネットを漁ったところ奇跡的に残っていた2013年の定期試験時間割を見つけたのですが、夏休み中に行われた試験は理系1年生の必修科目だけのようです。しかし、他クラス履修の2年生用の試験は7月中に行われていたのに、なぜ7月中に定期試験を終わらせなかったのか謎です。次に冬学期ですが、冬休みは12月23日~と1月6日頃と現在より長く、学期末試験は2月14日頃まで続いていたようです。また、2年生の専門科目試験は入試後の2月末から3月上旬にかけて行われていたようです。

 

2015年度:4学期制導入

 この年は大改革の年です。前後の年とは大きく異なるのでリンクを貼ります。

http://www.c.u-tokyo.ac.jp/zenki/file/2015/H27_jugyouyounittei.pdf

Sセメスターは現在や前年との違いは比較的少ないですが、Aセメスターは、9月~12月の祝日のほとんどを潰し年内に授業と定期試験が詰め込まれています。この年は、一部の学部ではS2タームに授業を行わずWタームに授業を行う計画だった*3ため、Wタームを7週間確保する必要があったからだと考えられます。

 

2016年度:現在に近付く

 前年の改革には混乱も多かったのだろうか、翌2016年にはAセメスターが後ろ倒しされます。授業開始は9月26日になり、1月まで授業や定期試験が行われるようになりました。また、補講日と定期試験やターム制の授業が重なる日もなくなりました。しかし、振替授業が4回、祝休日等利用日が7回と多く、まだ4学期制に慣れていない様子が伺えます。特に現在では1~2日間のS1、A1ターム科目の定期試験が3日間確保されていて、土曜日も含まれています。(ただし土曜日は予備日だった可能性もある)また、1月4日(水)が補講日で1月7日(土)が月曜授業なのですが、逆にした方が良いのでは?と思ってしまいます。なお、この年の進振りは2S1タームまでの成績のみが使われた*4ようでした。

 

2017年度:4学期制の定着

 この年は振替授業は4回と前年と変わらないものの、祝休日利用日は全くなくなりました。S1、A1の定期試験も2日間になり、Aセメスターの補講日も4.5日から2.5日に減りました。また、この年は平日が余ったのか、「調整のため」と称した謎の休みが12月25日(月)午後、12月28日(木)、1月4日(木)の2.5日も存在します。ただし、前年は冬季休業は12月27日(火)~1月4日(水)だったので、実質的には冬休みは1日減少しています。恐らく大学全体が4学期制や105分授業に慣れてきた頃でしょう。

 

2018年度:安定期

この年も前年に近い授業日程で、定期試験予備日と補講日以外に祝休日等利用日はありません。S1の補講日のうち1日がS2末の海の日に移動しています。また、11月5日と12日の通常の月曜授業の間に、振替授業として11月8日(木)にも月曜授業が行われていて、ややバランスが悪いように見えます。同じ週の月曜日に授業がなかった10月11日(木)などに調整を行っていればもう少し良くなっていたと思われるが。また「調整のため」の休みも12月28日だけになりました。

 

2019年度:混乱再び

 この年は令和改元関連で祝日が多かった年なので、授業日程もかなりカオスになっています。暦の上ではGWが10連休になった年ですが、祝日に挟まれた国民の休日であった4月30日と5月2日には授業が行われ、しかもどちらも本来の曜日とは異なる授業が行われました。さらに、10連休最初の4月27日には、約2年4か月ぶりの土曜授業が行われました。土曜日に授業をするより祝日に授業をした方がマシだと思うのですが、祝日を潰せない事情があったのでしょう。ついでに海の日も潰されました。また、この年は秋分の日(9月23日)、体育の日(10月14日)、振替休日(11月4日)が全て月曜日だったため、A1ターム中の月曜日への振り替えが2回になりました。その振替授業が行われたのは11月7日(木)と11月13日(水)で、11月7日から18日までの12日間に4回も月曜日の授業が行われるという奇妙な状況になっています。前年についての筆者の提案のように、もっと早く調整を行っていればこのような事態は回避できたと思われるのですが、なぜこうなってしまったのでしょうか。また、通常Aセメスターの第8回~第13回とA2タームの第1回~第6回は日程が一致していますが、この年はなぜかAセメスター第13回が終わる前の12月24日と25日にターム制だけの日があり、セメスター科目とターム科目の日程がズレるという事態も発生しています。そのため、前後の年はA2タームの第7回はAセメスターの定期試験と日程が重なっていたが、この年だけはA2タームの授業が全て終わった後にAセメスターの定期試験が行われています。

 

2020年度:90分授業復活

 前年のカオスとはうって変わってこの年は振替授業日は1回しかなく比較的分かりやすい授業日程でした。前年になぜか授業を行えなかった昭和の日(4月29日)も、この年は祝休日等利用日になっています。しかし、ご存じの通り例の感染症の影響で授業がほとんどオンラインになった年です。そのため、授業日に変更はなかったものの、食堂の混雑緩和などの目的でこの年のAセメスターからは前期課程は原則90分授業になりました*5。さらに、Sセメスターの最初の2週間は授業が行えなかったという説もあります。また、センター試験から共通テストに変わったのに合わせ、前日の授業休止は午後だけから全日になりました。

 

2021年度:日程の後ろ倒し

 前年から授業開始日が4月5日から6日に後ろ倒しされました。しかし、4月5日は入学式が行われる4月12日と曜日が同じため、その曜日の授業が始まるのは4月19日と、他の曜日と最大2週間近く遅くなってしまいます。前年は4月5日は日曜日だったので問題なかったのですが、この年は月曜日のため、授業が遅くなることを防ぐため月曜日の分の授業は初回から火曜日に振替授業として行われることになりました。また、東京五輪関連で祝日が移動したこともあり、Sセメスターの定期試験が終わったのは8月4日と、分かっている範囲では最も遅くなりました。また、前年までの5年間Aセメスターは9月25日頃に始まっていましたが、この年からは10月頭からになりました。この年のAセメスターは駒場祭とその前後の休み、A1ターム末の補講日、定期試験が全て同じ週にあり、1マスが午前と午後に分かれることもなく非常に美しい日程表となっていました。

 

2022年度:やや難化

 先程述べた、入学式のある曜日の授業が遅くなる問題ですが、この年は調整が入らなかったため、火曜日の初回授業は水曜日より13日も遅くなってしまいました。この年は第2回までオンライン授業だったので、筆者も曜日によって対面授業開始日がバラバラで分かりにくく感じました。また、駒場祭前後に授業が半日だけの日(残り半分は休講か補講)が4連続したのもカオスポイントでした。

 

2023年度:未来へ

 一応まだ変更の可能性もありますが、来年度の授業日程も見ていきます。まず授業開始が4月5日に戻り、2021年度や2022年度のような問題は発生しなくなりました。また、Aセメスターは、A1タームが定期試験以外ちょうど終わり、A2タームが始まる前のところで駒場祭が入るので、2021年度ほどではないが比較的美しい日程表となっています。また、この年は4学期制が安定期に入った2017年度と曜日の並びが同じで、その時に近い日程となっています。

 

終わりに

 過去の授業日程表を考察していると、暦の変化への対応や、その陰に隠れた大学の方針の変化が見えてきます。夏休み中に進振りの手続きをする必要があることや、文化祭が2回あることなどから、他の大学と比べても授業日程を組むのが難しいと思われます。しかし、4学期制が導入されてから来年度で9年目になり、既に火曜日から始まる年度以外全ての、6通りの曜日の並びを経験しています。今後は過去とほぼ同じ授業日程を繰り返すことが増えるのか、それともまた大きな変化が起きることがあるのか、見守っていきたい。